11月28日(木)17:00~18:30、上智大学の幡谷則子教授によるオンライン講演会が2年ぶりに開催されました。今回のテーマは「3年目を迎えたコロンビア・ペトロ政権の改革の課題〜辺境アプローチの視点も踏まえて〜」でした。
“CAMBIO“を掲げたグスタボ・ペトロ左派政権が誕生して2年余りが経過、発足当初の保守中道との大連立体制は短命に終わり、この8月に後半期を迎えたペトロ大統領は議会における少数勢力の下、いま何をどう改革しようとしているのか注目されています。
こうした中、今年も8月にコロンビア入りされた幡谷教授をお招きして、ペトロ政権の改革の評価と課題を詳しくご説明いただきました。 更に後半では、多くの問題を抱える辺境へのアプローチから見た改革の課題を、本年8月発行された『辺境からコロンビアを見る―可視性と周縁性の相克』(上智大学出版)での視点も踏まえてお話しいただきました。
ペトロ政権の状況・課題に関しては、少数与党のため、法案の修正協議に長い時間を要すること、従って、目玉に掲げた社会的正義実現のための改革法案の成立は遅々としているが、修正協議には積極的に応じて法案成立に真剣に取り組んでいること、70年以上続く国内紛争の解決は長期的課題として取り組まねばならないこと、などを大変分かり易く解説をしていただきました。又、「辺境」という独特な視点でコロンビアを見ることにより、一般論とは違ったコロンビアの姿を理解させていただきました。
講演会にはコロンビアからの参加者も含む多くの会員が聴講され、寺澤会長のご挨拶、幡谷教授のご講演に続いて活発な質疑応答が行われました。質疑応答の中で、上記著書の共編者であり、当日聴講されていた帝京大学の千代勇一准教授がご紹介され、著書内でも上稿さている「違法作物栽培」の観点からのお話をいただきました。
講演会は当初予定していた1時間30分を超過する形となりましたが、コロンビアの今後について考える上で大変貴重で示唆に富む講演会になりました。(了)